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アメリカとの決勝戦直前、
大谷翔平が仲間にかけた言葉に
長年の思いがそれだとわかった。

 野球の世界大会「ワールド·ベースボール·クラシック(WBC)」。決勝で日本がアメリカを破り、3大会ぶり3度目の優勝を飾った昨年の第5回大会は、1年以上が経過したいまも感動が大きかっただけに記憶に新しいことと思う。

 フロリダで行われたこの決勝の試合直前、クラブハウスで日本代表チームが円陣を組んだ。栗山英樹監督から声出しを指名されたのが大谷翔平だった。彼のそのときのコメントが、決勝の生放送中にアナウンサーから伝えられた。

「今日一日だけは、彼ら(メジャーリーグのスター選手)への憧れを捨てて、勝つことだけを考えましょう」

 場所は変わって岡山市内。このWBC決勝の放映を自宅のリビングで見ていた田口裕一会長は、この大谷の言葉に、タグチがレンタル事業に乗り出した当時のことをまざまざと思い出していた……。

 アタッチメントに特化した建機レンタル「レントリー」は、90年代には全国で約50店舗を展開する業界の雄に急成長を遂げていた。タックス岡山を皮切りに、広島、高松とレンタル事業を始めていたタグチであったが、レントリーはまさに巨人だった。タックスと並行して住友商事レンタル事業部とバケットランドを立ち上げたものの、事業規模では到底届きそうにもない。しかし、レントリーとタグチの関係は、レンタルの競争相手という単純なものではなかった。レントリーを展開する株式会社丸順(浜松市)は、つかみ機「Zフォーク」を製造する建機メーカーである。同じつかみ機「グラスパー」の製造でアタッチメント業界に参入してきたタグチにとって、はなからライバル関係にあったのである。

 田口会長の頭を巡っていたのは、北海道から鹿児島まで、全国にある50ものレントリーの拠点をひとりでつぶさに見て回った旅の日々だった。「ストーカーのようだった」と会長は振り返る。店舗に到着すると、張り巡らされた鉄柵の外から車の台数をチェックしてスタッフの数を記録する。揃えているアタッチメントはもちろん、目視できるものはなんでもチェックしてメモに書き込んだ。

 40歳にしてのあの行動、あの粘りは「レントリーをなんとかしたい!」という一心からだった。あれから20年が経過している。その間も、レントリーや丸順に対して抱いていたのは商売敵に対する「憎しみ」であるとずっと思っていた。ところが、どういうわけか、あの大谷の言葉が心に染みる。はて……?

(……そうか、あれは憎しみではなかった。憧れだったのか)

 丸順の創業者·小川淳次氏は、アタッチメントがレンタル主体となる時代が来ると誰よりも早く予見していた。さらには全国をセミナーで回り、フランチャイズを募って瞬く間に帝国を築いた。そんな優れた嗅覚や手腕をもつ小川氏に抱いていたのが尊敬の念であったと素直に認めることができた。
すべてがすとんと腑に落ちた。心が軽くなったような気さえした。

 2020年の年始早々、田口博章社長から会長にある報告があった。賀詞交換会で丸順の小川綱策社長と会う機会があった。そこでクサカルゴンの販売を打診されたのだという。さらに2月には、小川社長と業務部部長の2人がタグチの岡山本社に来訪し、田口会長を交えて商談の場をもった。かつての関係を知っている人からすると、ありえないことだった。

 昨日の敵は今日の友。運命はかようにうつりやすいものなのである。

※内容は掲載当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、肩書などは現在と異なる場合があります。

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