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連載

ペーソスの箱

#7

5年にわたるJAXAとの共同研究。
有人与圧ローバがダメでも
タグチの宇宙への夢はつづく

 まさか宇宙プロジェクトにタグチが参加するなんて誰も思っていなかった。突拍子もないことを言い出すのが常の田口裕一会長でさえ、あのJAXA(宇宙航空研究開発機構)と5年にもわたって共同研究を進めることになろうとは夢にも思わなかった。

 はじまりはロボティクス・ファッションクリエイターのきゅんくんを起用した動画『重機少女シリーズ』だった。企画した某広告代理店と打ち合わせを重ねていたときのこと。同社クリエイティブディレクターのT氏が当時の田口裕一社長に「実はやってみたいことがあるんです」と打ち明けた。それがJAXAの「宇宙探査イノベーションハブ」だった。企業や大学などを積極的に引き入れ、JAXA全体に技術的進歩をもたらさんとする公募プロジェクトである。通称は<TansaX(タンサックス)>。

 T氏に背中を押され応募してみることにした。研究テーマには「超軽量建機アタッチメントおよびブーム等の開発および実地検証」を選択。宇宙に運ぶ物資1kgにつき1億円の経費がかかるとされている。もしも10kgの計量に成功すると、10億円のコストダウンが見込めるということ。JAXAのメリットは言うに及ばず。タグチにも軽量化のノウハウをアタッチメントに活かすことができればメリットは大きい。まさにこの部分、共同研究にあたる双方にメリットをもたらすことが<TansaX>の真に理想とする目的なのだった。

 あれよあれよという間に話は進んで、図らずも宇宙プロジェクトへの参加が決定。以後、5年の間で二段階の研究が行われた。まずは油圧ショベルのアームの軽量化。超超ジュラルミンとCFRPのふたつの素材で研究開発が行われ、結果、東レの全面協力を得て完成したCFRPが大きな成果を得た。第二段階はショベル全体の軽量化。こちらはショベルの本体と足まわりの部品をCFRPで製作することで、全体で210㎏もの軽量に成功することができた。

 こうしてまたたく間に5年の月日が流れ、<TansaX>の研究は終了した。田口会長には達成感とともに、研究が終わってしまったことに一抹の寂しさもあった。
(引き続きなんらかのカタチで宇宙プロジェクトに関わることができたら……)

 そんな思いを抱いていた会長の目が、今年の春、ある新聞記事に釘付けになった。そこには、かねてからアメリカが進めている月面探査プログラム「アルテミス計画」において、日本が有人与圧ローバの提供の役割を担うことになったとあった。
(これだ! 与圧ローバの部品にこれまでの軽量化のノウハウが活かせるはず!)

 田口会長はJAXAに連絡を入れ、協力を申し出た。早速、与圧ローバの開発を請け負った国内企業に打診してもらったところ、「協力は無用です」、返答は誠にそっけないものだったという。

 忿懣やるかたない田口会長。この悔しさをクサカルゴンのPR動画第二弾『クサカルゴン・ザ・ムービー2』で表現しようとしているらしい。構成はざっとこんな感じだ。雑草でびっしり覆われた月に油圧ショベルを載せた宇宙船が降り立ち、遠隔操作のクサカルゴンが雑草を刈りまくる。

 今号の特集でも紹介しているG-WORKSのスタジオとバーチャルプロダクションをフルに使って、映像のクオリティであっと言わせるつもりだ。タグチの宇宙プロジェクトは終わらない。会長の目の黒いうちはまだまだ続きそうな気配である。